知的障害で障害年金を請求するには【社労士が解説】
こんにちは、関口社会保険労務士事務所の代表、社会保険労務士の関口俊也です。
当事務所では知的障害・発達障害の方やその保護者様からのご相談を多くいただいております。
障害年金は手続きがとても複雑なため、分かりにくい部分が多いかと思います。
そのため、今回は知的障害で障害年金を受給する為に必要なことを解説いたします。
当事務所での受給事例▶▶知的障害、自閉症で障害基礎年金2級を受給できたケース
知的障害で障害年金を申請する際の注意点
①請求時期は20歳になった時
知的障害で障害年金を申請する場合、生まれた日が初診日になります。
20歳前障害として扱われるため、障害年金の請求権が発生するのは20歳の誕生日の前日となります。
ですから知的障害がある場合には、20歳になったら障害年金の申請を行ってみることをお勧めいたします。
②初診日の証明は不要
知的障害で障害年金を申請する場合、生まれた日が初診日になります。そのため初診日を証明する必要はありません。
③保険料を一定納付している
障害年金を受給するためには保険料を納付している必要があります。
ただし、初診日が20歳前の「20歳前障害」の場合は納付は問われません。
➃一定の障害状態にある
知的障害の場合は「精神疾患用の障害年金の診断書」を用います。
その診断書に記載される「日常生活の状況」やIQによって等級が決まります。
受給できるかどうかの判断は無料相談でお問い合わせください。
➄所得制限に注意
通常、障害年金に所得制限はありません。しかしながら、20歳前障害による障害年金の場合には保険料納付要件が問われない代わりに、所得による制限があるため注意が必要です。
請求する時に提出する診断書と病歴・就労状況等申立書について
障害年金は書類審査のため、どんなに症状が重く、日常生活に支障があっても、提出する書類に記載されていなければ審査官に伝わりません。そのため、診断書と病歴・就労状況等申立書は慎重に書く必要があります。
診断書
診断書を依頼する際には、どんな症状がどのくらいの頻度であるのか、日常生活のどんな部分に支障があるか等を医師に十分に伝え、詳細に病状や日常生活状況を記載していただくことが最も重要です。
たとえ医師でも患者の日常生活を全て把握していることは難しいと思います。そのため、診断書の内容と自分で判断した日常生活能力の目安に大きな相違がなく書いてもらうように、注意深く依頼する必要があります。
中には、障害状態を正確に反映していない内容の診断書になるケースがあるようなので、医師に適切に生活状況を伝える必要があります。
診断書の作成を医師に依頼するのは専門知識と申請経験が豊富にある社会保険労務士に依頼することをおすすめいたします。
病歴・就労状況等申立書
病歴・就労状況等申立書は、自己申告として、発病から現在までの病状・日常生活の状況等を記入するものです。日常生活でどんな症状があってどう困っていたか、家族や周囲の人からの援助の有無やその内容など、診断書では伝えきれない内容を具体的に記入することが大切です。
一般就労で健常者と同じくらいの給与をもらっている場合は、年金機構からしっかり働けていると判断され不支給決定になることがあります。
実際は会社から様々な配慮をされて就労できている状況なのですが、書面審査なのでそのような状況は保険者には判りません。したがって、どのような配慮を受けて就労しているかを明確にして申請する必要があります。
知的障害で日常生活や働くことに支障のある障害の程度について
障害の程度は、国の定める認定基準により認定されます。
認定基準によると、知的賞がで各等級に相当する障害の状態は次の通りです。
(1) 知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常 生活に持続的な支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるものをいう。
(2) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
障害の程度 | 障 害 の 状 態 |
1 級 | 知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が 必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難で あるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの |
2 級 | 知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行う のに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なもの に限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの |
3 級 | 知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの |
(3) 知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する。また、知的障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加 重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。
(4) 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
(5) 就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。
知的障害でもらえる金額
受給できた場合にもらえる金額についてはこちらで詳しく説明しております。
ご自身が受給できる可能性があるかお知りになりたい方はぜひ、当事務所にお問い合わせください。