障害年金を働きながらでももらえる人の特徴は?傷病別に社労士が解説!
働きながらでも障害年金はもらえます。ただし、まずは何のために障害年金を受給するのか考えてみてください。
障害年金は、ケガや病気が原因で障害状態なった場合、所得の減少もしくは喪失により、生活困難に陥ることのないよう、生活保障を目的として国から支給されるものです。
現在就労中の方でも、障害状態となり十分に働けず、所得が少ない場合は、障害年金を受給できる可能性はあります。
厚生労働省の「障害年金受給者の就業率」では、65歳未満の1~3級の就業率の合計は43%となっています。(参照:「年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)令和元年」厚生労働省
就労状況や所得等を総合的に判断し、障害等級に該当すると認定されれば、就労していても支給されることがあります。
目次 |
雇用形態の違い
もらえる可能性があるケース※障害状態以前より所得が低くなった場合
・障害者雇用枠の方 ・休職中の方 ・仕事をする際に、職場の方に配慮をしてもらってる方 ・パート勤務・時短勤務等労働に制限が必要な方 |
もらいづらいケース※障害状態以前と所得が変わらない場合
・正社員の方 ・フルタイム勤務の方 |
身体障害や人工物の置換・施行の場合はわかりやすい
身体の機能・欠損・変形の障害の場合は、関節可動域・筋力等の数値の減少により障害の程度の把握が比較的容易です。
また、人工関節、人工血管、ペースメーカー、人工透析等、人工物の置換・施行も障害の程度が明らかです。
所得額や労働の状況、厚生年金の被保険者となっていても、労働については等級認定に影響が少ないようです。
精神・神経系統・内科的(がん・難病など)疾患と就労
障害年金の支給要件に「労働が著しい制限をうけるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする」という文言が含まれている場合、就労の状況によっては支給停止につながる可能性があります。
就労状況については、精神の障害用の診断書にだけ書く欄があるので、就労状況を担当医に詳細に伝えておくことで、実態に即したものになります。
ほかの障害については、厚生年金保険の被保険者記録で就労状況を一部確認することができますが、診断書の就労に関する記入欄や被保険者記録に載っている月額標準報酬からの情報だけでは表面的なことしか把握できないため、労働の実態が適切に伝わらないこともあります。
例えば、給与総額が月40万円のひとの標準報酬月額は41万円ですが、休職や欠勤控除により8月の給与は無給または少額だったとしても、ただちに標準報酬月額に変動するわけではありません。
被保険者記録の標準報酬月額には41万円と表示されてしまうので、それを前提に見られてしまう可能性があります。
そのため、労働条件と労働の実態が離れている場合には、より適切に就労状況の詳細を伝えるようにします。
休職中で障害年金をもらい、再度働きはじめたら障害年金は支給停止になる?
働きはじめても、直ちに障害年金が支給停止されるわけではありません。
永久認定以外は、定期的に診断書を提出して更新します。この診断書を「障害状態確認届」といい、記載された内容で障害の程度が軽減あるいは解消されたと判断された場合は、等級変更、支給停止になる可能性もあります。
たとえば、日常生活が改善されていたり、労働が支障なくできていたりすることが診断書から読み取れる場合は、支給停止になる可能性が高まります。
障害状態確認届は、提出年月日が決められているので、更新月の前から準備してこくことが大切です。
次回の提出年月日に向けて、主治医に就労の詳しい実態や就労時の支障や休職のことを随時伝えてカルテに記録してもらい、診断書を記載してもらうことや、就労の実態を詳しく書いた書類を活用してもいいでしょう。
働きながらの受給事例
注意欠陥多動性障害(ADHD)で、就労中でも障害厚生年金3級を受給できたケース
相談者:男性(30代)
傷病名:注意欠陥多動性障害(ADHD)
決定した年金種類と等級:障害厚生年金3級
年金支給額:約58万円
【広汎性発達障害】障害者雇用で就労しながら障害厚生年金3級を受給できたケース
相談者:男性(20代)
傷病名:広汎性発達障害
決定した年金種類と等級:障害厚生年金3級
年金支給額 約60万円
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